原作を超えた『Nのために』2014/12/22 23時16分

湊かなえさん原作の『Nのために』も終わってしまいました。

榮倉奈々さんは菅野美穂ちゃんと共演したドラマを観て、どちらかといえば苦手な役者さんでした。でも、研音のチャリティイベントで、気取りのない笑顔、ふんわりとした雰囲気を感じ、素敵な方なんだ…と認識を新たにしたものです。
(どうしても、役のイメージで観てしまいますので……)

素人のkinakoが言うべきことではありませんが、この作品は、榮倉奈々さんの代表作になるのでは…と思うくらい、榮倉奈々さん演じる杉下希美は記憶に刻まれました。
そして、Nたち…西崎役の小出恵介さん。
御子柴や橘恭太郎役の印象が強いのですが、こういう役もできるんだ……と、引き込まれました。
成瀬くん役の窪田さん、安藤の賀来さんが素晴らしかったのは言うまでもありません!!

kinakoにとっては原作を超えるドラマだった『Nのために』。
TBSの底力をみた思いです。
1話からの伏線もきちんと回収されていて、時間が行ったり来たりでも混乱することなく観られました。
丁寧に撮られた画。
何よりも脚本が素晴らしい……と感動しました。

高野さんが何の答にもならないけど…と、安藤に言った
「誰かを守るために無心に嘘をつく人間もおるんですね」。
人間の切なさ・優しさを思い知らされました。

空港での電話。
安藤望のプロポーズを断り、
安藤には、広い世界で羽ばたいていて欲しい、自分もまだこれからだと優しい嘘をつく希美。

母に「こわいんよ」と、やっと言えた希美。
(山本未来さんがこんなに凄い役者さんだとは知りませんでした)

成瀬くんから送られたチケットで成瀬くんのもとに。
成瀬くんのお店の名前がNotreというのがまた感涙でした。
フランス語で“私たちの…”を意味するNotrte

これまでずっと「ひとり」で頑張ってきた「N」たち。
でも、実は彼らは孤独ではなく素晴らしい仲間=“N”たちがいた。
その象徴がこのレストランの名前なのだと思いました。

ふと、このシーンで、野バラ荘のおじいちゃんが西崎さんに「あのふたり(安藤と希美ちゃん)が友だちでよかったね」と言った言葉を思い出し、落涙。

限りなく美しい景色。
この上なく優しい成瀬くん。
罪の共有から始まったふたりの時間。

目の前にどこまでも広がる水平線、
成瀬くんと希美が手を取り、抱き合ったシーンが忘れられません。
(そういえば、10年前のローズガーデンの事件の時も、成瀬くんは血だらけになった希美の手をそっと握りしめてくれていましたね)

感動のラストカットでした。
もう一度、原作を読んでみたい…そう思わせてくれるドラマでした。
こういうドラマをまた観させていただきたいな。
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『Nのために』 TBS、2014年10月期ドラマ
☆☆☆☆☆