映画『麒麟の翼』2012/02/13 20時22分

先日、『麒麟の翼』を観ました。


私、東野圭吾さんの作品が好きなんです。
加賀恭一郎シリーズも読破していますし、小説はもちろん、TVや映画化されたものも観ています。
唯一観ていないのが『夜明けの街』です(笑)。

小説が映像化されたとき、結構ガッカリすることもあるのですが、東野作品に限って言うと、なんです。

今回の『麒麟の翼』も感動しました。
何に…って、それは中井貴一さんの演技の素晴らしさ♪
中井さんが演じられた青柳武明の心像に感涙でした。
阿部さん演じる加賀恭一郎の目を通して、中井さんが演じる、青柳武明の「真意の全容」に辿り着くという仕掛けに引き込まれました。
映画の終盤、加賀が青柳武明の行動の真意を、息子の青柳悠人に語るシーンで、加賀は「父親の命を救うチャンスはこれまでいくつもあったはずだ」と問い質します。もう、この時点で涙が止まりませんでした。
また、加賀が劇団ひとりさん演じる中学教師の糸川に「子どもたちのために…と考えてやった結果がこれだ」と、迫るシーンは、この教師が罪に問われるかどうか以前に、物事を自分の都合のいいように考えたり(建前は○○のために…といいながら、実は自分の保身を第一に考えている)、他者への思いやりを軽視する社会風潮への警鐘が込められているようで、鳥肌が立ちました。 
この作品のテーマは「悲劇からの希望と祈り」ということですが、幾つもの悲劇が折り重なって描かれていながらも、見終わった後には、何か救いが見えました。

加賀シリーズが映像化されたとき、加賀を演じるのが阿部さんでよかった…と思いましたが、今回の映画を観て、さらにその思いを強くしました。


それから、松宮脩平を演じた溝端淳平さん。
いつだったか偶然目にしたTV『~蜜の味』で、凄い!!こんな役もできるんだ…と驚いたのですが、本当に役者さんとして成長されたように感じます(素人の私が偉そうに言うことではないのですが)。
いい作品にたくさんご出演されていますし、これからもますます注目される俳優さんなのでしょうね。
『黄金を…』では、桐谷さんとも共演されますので、楽しみです。
桐谷さんには年上・年下、キャリアの長短を問わず、素敵な役者さんと共演し☆刺激しあって、俳優としてさらなる飛躍を…と、いつも願っています。

矢島冬樹を演じた三浦貴大さん、若いのに存在感ある俳優さんだと感じました。

あと、音楽が素晴らしかったです。
JUJUが好きな私ですが、本当にこの映画のテーマと曲がマッチしていて、
映画を観て以降、JUJUのこの曲が流れる度に、一気に映画の世界に引き戻され、涙してしまいます。
小説のタイトルの『麒麟の翼』ですが、日本橋の麒麟像を示し、物語における重要な意味を表しています。
日本橋は、五街道の起点であることから、「ここから羽ばたく」という意味を込め橋の中央に大きな翼を持った麒麟の像が設置されているそうです。

いつか、この小説・映画の舞台となった日本橋に麒麟の像を見に行きたいですね。


小説はもちろんですが、この映画も本当にいい作品だと思います。
推理モノ特有のトリックはありませんが、
加賀恭一郎の、真相に迫る過程の他者に向ける暖かな眼差しにどんどん引き込まれました。
これ以上の具体的な内容を書くと、これからご覧になる方のお邪魔になるので、今日はあえて書きませんが、是非、皆さんにご覧になっていただきたい東野作品です。

(画像はすべて『麒麟の翼』公式サイトからお借りしました)